転職の決断
看護師の転職活動:在職中か退職後か、成功のための詳細ガイド
- 監修者:ラシク 医療転職コンサルタント
こんにちは、看護師の皆さん。今日は、多くの方が悩む転職活動のタイミングについて、そして効果的な転職活動の方法について詳しくお話しします。
看護師として働いていると、「もっと自分に合った環境で働きたい」「新しいスキルを身につけたい」「ワークライフバランスを改善したい」と思うことがありますよね。私自身、10年以上看護師として働く中で、2回の転職を経験しました。その経験を踏まえて、皆さんにアドバイスできればと思います。
もくじ
転職活動、いつ始めるべき?
まず、多くの看護師さんが抱える大きな疑問。「在職中に転職活動を始めるべきか、それとも退職してから?」これ、正解はないんです。でも、それぞれにメリット・デメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
在職中の転職活動
《メリット》
- 1.経済的な不安がない現在の給与を受け取りながら、じっくりと次の職場を探せます。特に、家族を養っている方にとっては、このメリットは大きいですよね。
- 2.焦らずに理想の職場を探せる収入があるので、「この職場は違うな」と感じたら、次の候補に進むことができます。理想の職場が見つかるまで、余裕を持って探せるんです。
- 3.「現役で働いている」という強み転職先の面接で、「現在も看護師として活躍中」というのは大きなプラスポイントになります。最新の医療知識や技術を持っているという証明にもなりますからね。
- 4.比較できる現在の職場と転職先を比較できるので、より客観的な判断ができます。「今の職場のここが良くて、ここが悪い」という具体的な基準を持って探せるんです。
《デメリット》
- 1.時間的制約がある特に夜勤がある場合、面接の日程調整が難しくなります。私の経験では、有給休暇を上手く使って対応しました。
- 2.現職場にバレる可能性小さな業界なので、転職活動が現在の職場に知られてしまう可能性があります。これは慎重に行動する必要がありますね。
- 3.面接日程の調整が難しい急な面接の誘いに対応できないことも。転職先に事情を説明し、柔軟な対応をお願いすることも大切です。
- 4.精神的な負担現在の仕事をしながらの転職活動は、精神的にも体力的にも負担が大きいことがあります。
退職後の転職活動
《メリット》
- 1.時間に余裕を持って活動できる面接や職場見学などの日程調整が容易になります。看護師の仕事は不規則な勤務が多いので、この余裕は大きいですよ。
- 2.リフレッシュしながら次の職場を探せる燃え尽き症候群に陥っている方も多いですよね。一度仕事から離れることで、自分が本当にやりたい看護について深く考える時間が持てます。
- 3.転職先の職場見学や面接に行きやすい急な面接の誘いにも柔軟に対応できます。また、複数の病院を比較検討する時間的余裕もあります。
- 4.スキルアップの時間が取れる例えば、専門看護師や認定看護師の資格取得のための勉強に集中できる期間にもなります。
《デメリット》
- 1.収入がなくなる貯金がない場合、経済的なプレッシャーを感じることになります。看護師は需要が高い職業ですが、それでも無収入期間のリスクは考慮すべきです。
- 2.焦りから妥協してしまう可能性経済的な不安から、本来なら選ばないような職場を選んでしまうことも。これは要注意ですね。
- 3.「現在無職」というのがマイナスに働くことも「なぜ退職したのか」という質問に適切に答える準備が必要です。ただ、看護師の場合は人手不足もあり、それほど大きなハンデにはならないことが多いです。
- 4.ブランクへの不安長期間仕事から離れると、最新の医療技術や知識からも遠ざかってしまう不安があります。
私の経験から言うと、可能であれば在職中に転職活動を始めることをお勧めします。特に看護師は人手不足の職場が多いので、「今すぐ来てほしい」という求人も少なくありません。在職中なら「今の職場の引き継ぎがあるので…」と交渉の余地もありますからね。
ただし、現在の職場での負担が大きく、転職活動に時間を割くのが難しい場合や、精神的にも限界を感じている場合は、一度退職して転職活動に専念するのも一つの選択肢です。自分の状況をよく見極めて判断しましょう。
看護師の転職活動、どのくらいの期間がかかる?
一般的に、転職活動から新しい職場で働き始めるまでに3〜6ヶ月くらいかかると言われています。でも、看護師の場合は少し特殊です。
人手不足の影響で、「来月から来てほしい」というオファーもあれば、逆に「今の職場の引き継ぎがあるので3ヶ月後からでいいです」と言うと、快く待ってくれるケースも多いんです。
私の2回目の転職の時は、希望の病院を見つけてから実際に働き始めるまで約4ヶ月かかりました。
具体的には以下のようなスケジュールでした。
- ・転職活動開始:1ヶ月目
- ・希望の病院を見つけて応募:1ヶ月目終わり
- ・書類選考通過の連絡:2ヶ月目初め
- ・面接:2ヶ月目中旬
- ・内定通知:2ヶ月目終わり
- ・現職場での引き継ぎ期間:3〜4ヶ月目
- ・新しい職場でのスタート:5ヶ月目初め
このように、看護師の転職は比較的スムーズに進むことが多いです。ただし、専門性の高い部署(例:ICUやオペ室)への転職や、管理職への転職の場合は、選考プロセスが長くなることもあります。
また、看護師の転職市場は季節性があることも覚えておきましょう。4月の新年度スタートに合わせて動く医療機関が多いため、年末から年始にかけては求人が増える傾向があります。夏頃から活動を始めると、この時期にちょうど良いタイミングで転職できる可能性が高まります。
効果的な転職活動のコツ
では、どうすれば効果的に転職活動ができるでしょうか?私の経験を元に、いくつかのコツをお伝えします。
1.事前準備をしっかりと
転職を考え始めたら、まず自分と向き合うことから始めましょう。
- – なぜ転職したいのか?
- – どんな環境で働きたいのか?
- – キャリアにおいて何を重視しているか?
- – 5年後、10年後の自分はどうなっていたいか?
これらを明確にしておくと、ブレずに活動できます。私は手帳に「理想の職場リスト」を書き出しました。給与や勤務体制はもちろん、「患者さんとじっくり向き合える環境」「最新の医療技術が学べる」「ワークライフバランスが取れている」といった具体的な希望も。これが後々、とても役立ちました。
また、自分のスキルや経験を棚卸しすることも重要です。「どんな疾患や治療に携わってきたか」「どんな医療機器を扱えるか」「チーム医療でどんな役割を果たしてきたか」などを具体的にリストアップしておくと、履歴書作成や面接対策に役立ちます。
2.複数の選択肢を持つ
「この病院しか行きたくない!」という気持ちもわかります。でも、1つだけに絞らず、複数の選択肢を持つことをお勧めします。
私の時は、志望度の高い順に3つの病院に応募しました。
それぞれ、
- ・大学病院(最新の医療技術を学べる)
- ・地域の中核病院(幅広い症例に携われる)
- ・クリニック(ワークライフバランスが取りやすい)
と、特徴の異なる施設を選びました。結果的に第一志望の大学病院に決まりましたが、他の選択肢があることで、余裕を持って面接に臨めました。また、それぞれの病院を比較することで、自分が本当に大切にしたいものが明確になりました。
3.看護師専門の転職エージェントを活用する
これ、本当におすすめです!看護師の転職市場は特殊で、一般の転職サイトではわからない情報がたくさんあります。
看護師専門のエージェントさんは、以下のようなメリットがあります。
- ・病院の内部事情や職場の雰囲気まで知っている
- ・非公開求人の情報を持っている
- ・履歴書や職務経歴書の書き方をアドバイスしてくれる
- ・面接対策をしてくれる
- ・条件交渉をサポートしてくれる
私は2回目の転職の時にエージェントさんにお世話になりましたが、「この病院は新人教育に力を入れているよ」「ここは残業が多いから要注意」など、貴重な情報をたくさんもらえました。また、面接前にその病院の特徴や面接官の傾向まで教えてくれて、とても心強かったです。
ただし、エージェントを使う際は、複数のエージェントを利用することをお勧めします。エージェントによって得意分野や持っている情報が異なるので、複数利用することで選択肢が広がります。
4.面接対策はしっかりと
看護師の面接でよく聞かれるのは:
- ・なぜ当院を志望したのか
- ・これまでの経験で困難だったこと,それをどう乗り越えたか
- ・チーム医療についての考え
- ・今後のキャリアプラン
- ・患者さんやその家族とのコミュニケーションで心がけていること
- ・医療安全に対する考え方
- ・ストレス管理の方法
これらの質問に対する答えを、具体的なエピソードを交えて準備しておくと良いでしょう。
例えば、「困難だったこと」という質問に対しては、こんな風に答えました。
「新人の頃、終末期の患者さんのケアに携わった時、どう接すれば良いか悩みました。
でも、先輩看護師のアドバイスを受けながら、患者さんやご家族の気持ちに寄り添うことの大切さを学びました。
その経験から、コミュニケーションスキルの向上に努め、現在では後輩指導も任されるようになりました。」
また、病院の特徴や理念をよく調べ、「この病院だからこそできる看護」について自分の考えを述べられるようにしておくと、志望度の高さをアピールできます。
5.内定後の退職交渉
内定をもらったら、次は今の職場での退職交渉です。ここで大切なのは、患者さんへの影響を最小限に抑えることです。
私は内定をもらってから上司に報告し、「引き継ぎをしっかりしたいので、3ヶ月後の退職でお願いできませんか」と相談しました。すると意外にもスムーズに了承してもらえ、後輩にも丁寧に引き継ぎができました。
退職交渉のポイントは以下の通りです。
- ・できるだけ早めに上司に伝える
- ・退職理由を前向きに説明する(スキルアップのため,など)
退職交渉のポイントは以下の通りです。
- ・できるだけ早めに上司に伝える
- ・退職理由を前向きに説明する(スキルアップのため,など)
- ・具体的な退職希望日を提示する
- ・引き継ぎ計画を提案する
- ・感謝の気持ちを忘れずに
退職を伝える際は、感情的にならず、冷静に対応することが大切です。
これまでお世話になった感謝の気持ちと、新たなキャリアへの前向きな姿勢を示すことで、円満な退職につながります。
6.引き継ぎは丁寧に
看護師の仕事は患者さんの命に関わるものです。そのため、引き継ぎは特に重要です。
私は以下のような引き継ぎ計画を立てました。
- 1.担当患者さんの情報をまとめたファイルの作成
- 2.日々の業務手順のマニュアル化
- 3.後任の方との重複勤務期間の確保(可能な場合)
- 4.特殊な医療機器の使用方法の説明会実施
- 5.チーム内での引き継ぎ会の開催
このような丁寧な引き継ぎは、患者さんの安全を守るだけでなく、自分の評判にも良い影響を与えます。
看護界は意外と狭いので、将来どこかでまた一緒に働くこともあるかもしれません。
良い印象を残して退職することは、長い目で見ると自分のためにもなるのです。
転職後の適応期間を乗り越えるために
新しい職場では、最初の3ヶ月が適応期間としてとても重要です。
私の経験から、以下のポイントをお伝えします。
- 1.積極的に質問する分からないことは恥ずかしがらずに聞きましょう。「経験者だから」と遠慮せずに、むしろ積極的に質問することで、早く職場に馴染めます。
- 2.新しい環境のルールや文化を学ぶ各職場にはそれぞれの「やり方」があります。最初は戸惑うこともあるでしょうが、柔軟に適応していく姿勢が大切です。
- 3.同僚との関係構築休憩時間などを利用して、同僚とコミュニケーションを取りましょう。良好な人間関係は、仕事の効率と満足度を高めます。
- 4.自己研鑽を怠らない新しい知識や技術を積極的に学ぶ姿勢を見せることで、周囲からの信頼も得やすくなります。
- 5.定期的に上司と面談自分の成長度合いや課題について、上司と定期的に話し合う機会を持ちましょう。
転職後しばらくは、「あの職場に戻りたい」と思うこともあるかもしれません。でも、それは自然なプロセスの一部です。新しい環境に慣れるには時間がかかります。焦らず、自分のペースで適応していきましょう。
最後に:看護師としてのキャリアを大切に
転職活動は確かに大変です。でも、自分のキャリアを見つめ直す貴重な機会でもあります。
完璧な職場はないかもしれません。でも、自分により合った環境、自分の看護観を実現できる場所は必ずあるはずです。大切なのは、自分が何を大切にしたいのか、どんな看護を実践したいのかをしっかりと見極めることです。
私自身、2回の転職を経験して感じたのは、それぞれの職場で学んだことが、次のステージで必ず活きてくるということです。たとえ「失敗した」と感じる転職であっても、そこから学ぶことはたくさんあります。
また、転職は決してマイナスなことではありません。むしろ、様々な環境で経験を積むことで、より幅広い視点を持った看護師になれるのです。患者さんへのケアの質を高めるためにも、自分自身のキャリアを大切にすることは重要です。
看護師としてのキャリアは長いです。今回の転職がうまくいかなくても、また次のチャンスはあります。大切なのは、常に学び続け、成長し続けることです。
皆さんの転職活動が実り多きものとなり、看護師としてのさらなる成長につながることを心から願っています。新しい環境での出発に不安もあるでしょうが、きっと素晴らしい経験が待っているはずです。自信を持って一歩を踏み出してください。
頑張ってくださいね。そして、どんな環境であっても、患者さんの笑顔のために、素晴らしい看護を提供し続けてください。皆さんの活躍を心から応援しています!